19歳にして家具マイスターの資格を習得しその後、現・デンマーク王立芸術アカデミーで学ぶという数多くの有名デザイナーと同じ、まさにエリートの道を辿っていたIllum Wikkelsø(イルム・ヴィッケルソー)は卒業後、Jacob KjærやHvidt & Mølgaardとの仕事をキャリアのスタートとし1954年には独立、自身のデザインオフィスを立ち上げます。数多くの工房にデザインを提供しますが、特にN. Eilersen, C.F. Christensen Silkeborg, Søren Willadsen Møbelfabrik, P. Schultz & Coなどの工房とは長年に渡り密な協力関係を築きました。Kaare Klint(コーア・クリント)のような古典主義から、Arne Jacobsen(アルネ・ヤコブセン)のような現代的な表現主義まで幅広い作風の彼の作品ですが、本作は彼の初期のキャリアのもので、古典主義の集大成ともいうべきディテールの詰め込まれたバーキャビネットとなっています。
北欧の大自然からインスパイアを多大に受け、作品の年代問わず特に輪郭の描き方に独特の個性を持つ彼の作品ですが、本作も例外にあらず、扉を開けずとも全体のシェイプや掘り込みの取っ手に暖かさを感じます。いざ扉をあけてみると、容易に最高級グレードだろうと認識させるような、素晴らしいローズウッドが贅沢にもふんだんに使用されており、その木取りの仕方や木目の合わせ方など、見る者を圧倒します。小型ながらもワインボトルは専用のスロットに5本、鍵の仕込まれた(オリジナルの鍵が付属します。)引き戸にはシェーカーやスピリッツ、リキュールなども数多く収納でき、お気に入りのショットグラスを並べられるように配置された上段部、バースプーンやソムリエナイフを蔵うであろう、丁寧に作られた内部の引き出しなど… 圧倒的な美しさのみならず、やはりクリント派(Kaare Klintは人の行動パターンや使用頻度の高い器具と、家具の機能との関係性を研究することで、あらゆる家具の標準サイズを確定しました。)と思われし機能美は使い込むほど体感でき、あらゆる意味で究極の贅沢を味わえる至高の一品です。
ひとえに“家具”といっても、椅子から始まり小さなテーブルウェアまで非常にバラエティに富みますが、中でもバーキャビネットは市場で非常に貴重なもので、移動式のバーキャビネットは過去にも数回しか見たことがありません。さらには巨匠Illum Wikkelsøがデザインした本作を見つけた時は、本当にドキドキしてしまいました。50年以上前の作品ながら、素晴らしいコンディションを保っているため、我々としてはサンディングなど本質的に手を入れることは行わず、各部のクリーニングのみに留めてあります。当時のニスによるフィニッシュもグロッシーな質感が高級感を醸し出しており、本作にぴったりでしたのでフィニッシュもそのままに、こちらもクリーニングのみで仕上げました。Illum Wikkelsøの作品は一部の量産された椅子やソファを除き、デンマーク国内でも入手困難ですので、全く同じタイプの本作はもう二度と見かけることが出来ないのかもしれません…
Size |
W71(183) L43 H67(70)(cm) , キャビネット底面までの高さ: 7(cm) *括弧内の数字は扉を両面全開にした際のものです。 |
Material |
Rosewood |
Designer |
Illum Wikkelsø |
Manufacturer |
C.F. Christensen Silkeborg |
Origin |
Denmark |
Date |
Circa 1960’ |
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