1917年に西デンマークの町Vamdrupで生まれたPoul Hundevadは、デンマーク家具隆盛の黄金期をデザイナー・家具製造家として過ごした後、1951年代に自身の故郷にて家具製造工房である"Hundevad & Co.,"を自身の故郷にて立ち上げます。Poul Hundevad本人のデザインを中心として、Carlo JensenやKaj Windingといった腕利きのデザイナーの作品の製造を手掛けていた同社は主に、キャビネットや本棚といった箱物の設計、精度に特に定評があり、Hundevad & Co.,社の製品は当時デンマーク最大規模の流通グループであったDomus Danicaによって販売されることとなります。Poul Hundevad自身は同名の古のノルディックデザインのスツールを再解釈した"Guldhøj Chair"が非常に有名であり、現在でも製造され続けるこちらはデンマーク国立博物館のギフトショップにも置いてあるほどポピュラーな存在なのです。

   Hundevad & Co.,社の中でも1、2を争ったであろうデザイナーであるCarlo Jensenは、そのデザインのほぼ全てがキャビネット、サイドボード、本棚といった箱物であり、まさに北欧的なミニマリズムといったデザインは、現代にも通づるような直線的なデザインを基調として、不思議とスリムに思わせるような独特なプロポーションと、それに反した内部の収納容量の多さが特徴的です。こちらのキャビネットはまさにそんな彼の意匠と同社の製造精度の高さを感じることのできる逸品であり、さらに特筆すべきはWenge(ウェンゲもしくはウェンジ)材を全面に使用していることであり、中央アフリカを原産とするこちらのダークで特徴的な木目をしたこちらの木材は、シックでスタイリッシュな質感を演出することで現代では、高級なヨーロピアンブランドのモダンデザインの家具に使用されることが少なくありません。当時デンマーク家具といえばやはりチーク、ローズウッド、オークの3大木材という時代にこのような希少材に目をつけ、実際に作品に具現化するHundevad & Co.,社や、Carlo Jensenには脱帽です。モノトーンの空間において、存在感がありつつ馴染むような収納が必要な場合、もしくは当時としては非常に希少なデンマークデザインのWenge材の家具をお探しの方にはこれ以上無いお薦めの一品です。

 　高品質な家具である事を証明する“DANISH CONTROL”のシールはもちろん、背面にHundevad & Co.,の押し印も残されており、付属のオリジナルキーもございましてパーフェクトな状態です。現在、最終リペアの前段階ではありますが元々小傷も少なく、コンディションとしても非常に良好な状態です。最終的なリペアでは、小傷を可能な限りサンディングし整え、天然由来のオイル/ワックスのコンビネーションで仕上げ、元来の美しいWengeの木目をより際立たせます。収納内部のトレー、仕切り板は調整用のスリットが数多く細かく調整でき、しっかりとした収納容量がございますので陶器や、カトラリーの収納はもちろんのこと、ワーキングスペースの書類入れとして使用されても空間のいいアクセントに、またより現代のデンマーク的な使用方法では上面に小型のTVを置いて、DVDや関連アクセサリーを内部に収納するのも間違いありません。Wenge材の家具は非常に玄人好みで難しい印象をお持ちの方も少なく無いかもしれませんが、黒檀にも通ずるその色合いは"Japandi"を体現する上で一歩進んだアイデアであることに間違いありません。ぜひ、Hundevad & Co.,やCarlo Jensenの箱物に掛ける情熱と希少材の素晴らしいコンビネーションを極めて実用的な本作品でご堪能ください。

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