童話作家アンデルセンの出身地として有名なデンマークのオーゼンセ市を当時拠点とした建築家、Henning Kjærnulf(ヘニング・ケアヌルフ)は1950~1970年代にNyrup Møbelfabrik、Vejle Stole og Møbelfabrik、Bruno Hansenといった小規模ながら職人気質で品質に自信のある工房とタッグを組み、数多くの椅子、テーブル、サイドボードなどを生み出しました。“Arkitekt(建築家) Kjærnulf”の名前で作品に焼印を入れることも少なくなかった彼の作品は、そんなバックグラウンドを感じさせる美学が随所に光ります。本作のようなエクステンションテーブルはまさに彼の得意とする、構築・機能のトリックが隠された専売特許的な作品です。
ミッドセンチュリー期に大人気を博した、拡張天板の備わったエクステンションテーブルですが、シチュエーションに応じて自在に必要最低限のスペースを有効活用でき、非常に実用的です。閉じた時には4名用のフルサイズ、開いた時には6~8名用の大型ダイニングテーブルとなります。この機構自体は一般的ですが、本作は彼の専売特許である“拡張天板の存在を完全に隠す天板構造”を最大のミソとしており、通常時には拡張板の存在が一切分かりません。その機構のアイデアには脱帽で、拡張天板の接合部の意匠、美しい天板木部の貼り合わせ、芸術的な脚・フレーム下部のシェイプ…そういったものを全て忘れてしまうほどです。また脚部がフレームの外側に配置され、サイズ感以上にゆったり使用できるのもこのテーブルの魅力で、日々の食卓として普遍的に使用できる芸術品といった趣は、建築家ならではの類い稀なるバランス感覚によるものなのでしょう。
個人的にお気に入りのHenning Kjærnulfのエクステンションテーブルシリーズですが、様々なサイズがあり一人用の小さいものから本作よりもさらに大型のものまであります。今回仕入れた一品は、一番普遍的なサイズで日本の住宅環境に一番フィットしていると思います。またチーク製の多いこのシリーズですが今回は奇跡的にローズウッド製のものを入荷しております。本品は、デンマーク本国、コペンハーゲンの近くのご住宅にて3代に渡って大事に使用され続けていたものを、お願いして譲り受けてまいりました。当時の厚いニスのフィニッシュのお陰で、内側の木部のコンディションは申し分なく、丁寧にサンディングして全てニスや小傷を落とし天然由来のオイル/ワックスのコンビネーションで仕上げてあります。食卓としての使用を想定し、フィニッシュを厚めに仕上げてありますので、素材感をそのままにしながらも、撥水性もよく、輪じみなど出来にくくなっており、ご安心して日々お使い出来ます。
*写真の一品の他に、もう一品よりダークな色調のローズウッド材の同じ作品が在庫でございます。ご希望の方はお問い合わせくださいませ。
Size |
W88 L138(w/Ext 188,238) H74(cm) , テーブル下面までの高さ : 60(cm) |
Material |
Rosewood / Teak Legs |
Designer |
Henning Kjærnulf |
Manufacturer |
Vejle Stole og Møbelfabrik |
Origin |
Denmark |
Date |
Circa 1960’ |
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